AIが「最強の評価者」に?公平で納得の人事評価を実現する(連載:第1回準備編)

AI執事「トゥエ」と学ぶ!中小企業のためのやさしい生成AI活用術
目次
キャラクター紹介

生成AI執事トゥエ
生成AI執事

みら社長
3店舗の美容室オーナー
お悩み –社員が人事評価や評価基準が曖昧だと感じているみたいで…

みら社長
トゥエ、聞いてちょうだい!うちのスタッフはみんな頑張ってくれているんだけど、人事評価基準が曖昧だと感じているみたいで…。
不満の声も聞くし、これじゃあモチベーションが下がってしまうんじゃないかと心配なのよ

生成AI執事トゥエ
ご安心ください、みら社長。そのお悩みはAIが解決します。
AIを活用すれば、人事評価のブラックボックスをなくし、誰から見ても「納得のいく、透明性の高い評価基準」を構築できます。これは、全スタッフのモチベーションを劇的に高め、組織全体の生産性を向上させる強力な一歩です。3回に分けて、より実践的な例をあげながら学んで行きましょう。
なぜ今、AIが人事評価に必要なのか? — 美容院のオーナーが抱える課題とKPI作成
人事評価にAIを導入するメリット
人事評価をAIに任せる、と聞くと抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、AIは評価を下す『人』ではありません。あくまで、公正な判断をサポートする『道具』です。
AIは、個人の感覚や主観に左右されることなく、スタッフの業務データや貢献度、目標達成率などを客観的に分析し、公正な評価項目を提示します。これにより、評価者が変わってもブレのない一貫した評価が可能になり、社員は『頑張った分だけ正当に評価される』という安心感を得られます。
AIは、感情に左右されやすい評価者の負担を軽減し、より建設的なフィードバックに集中できるようになるのです。
店舗のKGI、個人のKPI設定
Step1:店舗のKGI(Key Goal Indicator)の設定
まず、最初に、店舗ごとにKGI(経営目標達成指標:Key Goal Indicator)を定めましょう。
オーナーは、全スタッフにとってStep2で設定する個人のKPIが、この目標達成につながることを意識して設定しなければなりません。
店舗の目標(例) | KGI |
---|---|
店舗全体の年間売上 | 年間〇〇円、対前年比〇〇%アップ |
来客延べ人数 | 〇〇人、対前年比〇〇%アップ |
リピート率 | 〇〇%(=再来店した顧客の数/総来店顧客数) |
Tips(AI活用によるKGI設定)
より業績が向上するKGIを設定するために、過去年度ごとの、来客顧客名/来店日/担当スタイリスト/支払金額、SNS投稿数、技術講習実績などをデータとして蓄積する。担当スタイリストごとに、経験年数やベテラン度ランク なども設定します。
これを元にAIによる分析を行い、オーナーへ本年度のKGIについて提案を導き出させる。
以下のようなAIからの提案が期待できます。
「新規顧客のリピート率(再来店した新規顧客/新規顧客総数)が全体のリピート率を下回っているため、本年度は新規顧客のリピート率を〇〇%向上させることをKGIに設定すべきです。」
「特定のベテランスタイリストの指名売上が全体の〇〇%を占めているため、若手スタイリストの指名売上を〇〇%向上させることをKGIに設定すべきです。」
Step2:個人ごとのKPI設定
最初に、各スタイリストに向けて、以下各KPI項目の前年度結果を提示します。(前年のKPIに対する実績がない場合について、第2回を参照下さい)
合わせて、店舗のKGIを提示し、これを参照して本年度目標KPIを各スタッフに設定させます。
1.定量的目標(例) | KPI:売上・顧客貢献 |
---|---|
新規指名客獲得数 | 月間〇〇人(新規顧客のファン化を評価) |
顧客単価 | 平均〇〇円(追加メニュや店販売提案の貢献度を評価) |
リピート率 | 〇〇%(顧客満足度と長期的な関係構築を評価) |
顧客回転率 | 〇〇分(施術時間の効率性を評価) |
2.定性的目標(例) | KPI:チーム・スキル貢献 |
---|---|
技術講習への参加/新規技術の習得 | 年間〇〇回/〇〇件(専門性やスキルアップへの意欲を評価) |
SNS投稿による集客貢献 | 週〇〇回(店舗の認知度向上やブランディングへの貢献を評価) |
後輩指導/ナレッジ共有への貢献 | 週〇〇件(チーム全体の技術力向上を評価) |
顧客アンケートの満足度スコア | 〇〇点(お客様の声に基づいた総合的な満足度を評価) |
店内環境整備への貢献度 | 週〇〇件(清掃や整理整頓など、店舗運営への貢献を評価) |
クレーム件数 | 月間〇件(顧客対応におけるトラブル回避能力を評価) |
Tips(AI活用)
KPIは各スタイリストが自身の判断で設定することが大事です。
これにより本人の店舗全体の業績への貢献意識、モチベーションが高まることが期待されます。
オーナーは、各スタイリストから提出されたKPIと、前年度実績、本年度KGIを合わせAIにより分析を行います。以下のようなAIからのKPI改善提案が期待できます。
「Aさんの前年度四半期毎のリピート率をみると、第三から第四四半期へと向上が見られます。本人の設定したリピート率を更に高めることを検討してみては如何でしょうか?」
「Bさんの顧客単価目標は、同一技能レベル/経験年数のCさんより下回っています。本人と会話して目標を引き上げることが必要ではないでしょうか?」
Step3:個人ごとのKPI決定
オーナーより各自へKPI検討結果をフィードバックし、最終決定を行います。
Tips(AI活用による動機付け)
前年度実績に対し、各スタイリストごとのAI分析結果を参考に、本年度のKPIについて本人との面談を通してKPIを最終決定する。
これは同時に本人が目標にコミットしたことでもあり、オーナーとメンバーとの間の信頼関係の構築にも繋がる重要なプロセスです。

みら社長
今回が初めての取組みなので、従業員の昨年度KPI目標、その実績がないのよね。。。その場合はどうしたらよいのかしら?

生成AI執事トゥエ
はい、どなたでも最初の年はそうです。
第2回目で学びますが、昨年実績データを集め、そこから各自のKPI実績を算出することが可能です。

みら社長
それと、ちょっと心配なのは、スタッフ間の競争が生まれて、職場がぎすぎすしないか。。
そうならないようにするコツはないのかしら?

生成AI執事トゥエ
はい、ご心配わかります。職場環境がぎすぎすする原因の一つは、競争が過剰になり、個人間の不和を生むことです。そこで、KPIを個人だけの目標ではなく「チーム全体の成功」に結びつける仕組みにすることも重要です。
例えば、「月間来店数の増加」や「リピート率の向上」をチーム全体の目標として設定します。個別の評価を完全に排除するわけではありませんが、チームで達成する目標を重視することで協力体制を促進します。個人評価を残しながら、チーム評価を取り入れる、これがコツです。
まとめ

みら社長
人事評価を行う上で最も大事なことは、KGIとKPIの設定であること、これを設定するためにAIを活用すれば、気付かなかった点や、更に頑張りを期待できるKPIを設定できることがよくわかったわ。これからはAIを味方につけて、社員一人一人が納得できる人事評価を目指すわ!

生成AI執事トゥエ
その通りです。AIはデジタル時代における人事評価の強力な羅針盤です。AIと共に、社員の信頼とエンゲージメントを高める新しい人事評価の形を創造していきましょう。ただし、AIはあくまでツールであり、人事評価で最も重要なのは、いつの時代も変わらない評価の透明性と、オーナーとスタッフの信頼関係です。
次回は、どのようなデータを集めれば良いのか?、また、どのようなツールが役立つのか? これらを一緒に学んで行きましょう。
この記事は2025年10月公開の記事です。技術の進化等により一部内容が異なることもございます。